北米とイギリスを中心にホームレス問題について発信している「Invisible People」の動画を紹介したいと思います。
トロントでホームレスをしている少女テラへのインタビューです。
残念ながら彼女はこのインタビューの2年後に電車に轢かれて亡くなってしまいました。
カナダ、トロントの若い女性ホームレス、テラのインタビュー
テラを支援しているボランティアの看護師がインタビュアーを彼女に合わせてくれたそうです。
インタビュアーは「テラの話が、あなたの心と記憶に残ることを望んでる」と言います。
良いニュースは、一緒にいたボランティアの看護師が特別な愛情と共感でいっぱいだったことと、テラが助ける得るのに全力を尽くしてくれること、とも言っています。
Terra, we’re here in Toronto.
テラ、私たちは今トロントにいるね
00:03 インタビュアー:
You’re homeless.
君はホームレスだ
00:04 インタビュアー:
Tell me about it.
話を聞かせて
00:06 テラ:
It kinda sucks,
ひどいものよ
00:09 テラ:
because
だって
00:13 テラ:
it feels like people don’t really care about you.
全く誰も自分を気にかけてくれないように感じるし
00:20 テラ:
You’re gonna make me cry.
私泣いてしまうわ
00:23 テラ:
It feels like people don’t care about you,
誰も気にかけてくれないと感じるし
00:25 テラ:
and people disregard you.
無視されているように感じるの
00:27 テラ:
People always …
常にね
00:29 テラ:
If I’m trying to sleep in a park by myself or something,
一人で公園で寝ようとしたりしていると
00:32 テラ:
somebody will call the cops and the cops always come.
誰かが警察に連絡して、いつも駆けつけてくる
00:37 テラ:
They know I’m homeless already,
警察は私がホームレスだっていうのはもうわかってるんだけど
00:38 テラ:
but they run my name
私の名前を呼びつけて
00:39 テラ:
and they try to have an excuse to arrest me,
逮捕する言い訳をしようとする
00:42 テラ:
but they don’t have an excuse.
でも捕まえる理由がないの
00:45 テラ:
All they have is the fact that I don’t have
警察がわかっているのは、私が
00:48 テラ:
a proper bed to sleep on.
普通に寝られるベッドがないってことだけ
00:50 テラ:
I don’t like shelters,
シェルターが嫌いなの
00:51 テラ:
because
なぜかというと
00:53 テラ:
they’re pretty brutal.
みんなとても乱暴で
00:55 テラ:
I’ve been in a shelter before,
前にシェルターにいたんだけど
00:56 テラ:
I got beat up in there.
そこで暴行にあったの
00:57 テラ:
So I’d rather just sleep on the street,
だから路上で寝てるほうがいいわ
01:01 テラ:
or a park.
公園とかね
01:06 テラ:
It’s getting tiring but at the same time
疲れもするけど
01:10 テラ:
I’m just used to it now.
今は慣れたわ
01:12 インタビュアー:
You shouldn’t have to get used to homelessness.
ホームレスになることに慣れてはいけないよ
01:17 テラ:
I’ve been homeless for five months now.
今ホームレスになって5カ月
01:21 テラ:
Sadly I am used to it.
悲しい事に慣れてしまったわ
01:27 テラ:
Sadly, the other part about it is alcohol makes it easier.
また悲しいことに、アルコールが気を楽にしてくれる
01:32 インタビュアー:
It’s hard to do homeless sober.
まともにホームレスをやるのは難しいね
01:35 テラ:
It is.
そうね
01:36 インタビュアー:
I mean you’re a young girl
君はまだ先の長い
01:38 インタビュアー:
with your whole life ahead of you.
女性なんだよ
01:41 テラ:
I’m only 25.
まだ25歳なの
01:45 テラ:
I’ve been like this for, like I said, five months.
さっき言ったようにこの生活は5カ月になるわ
01:48 テラ:
I spent my birthday drinking with my homeless friends.
ホームレス仲間とお酒を飲んで誕生日を迎えたわ
01:55 テラ:
My birthday was on July.
私の誕生日は7月だったの
01:58 テラ:
I spent my birthday drunk
お酒を飲んで誕生日を過ごした
02:01 テラ:
on the streets,
路上でね
02:02 テラ:
and I shouldn’t be doing that.
あれはやるものではないね
02:04 テラ:
I have family in the city.
街に家族がいるの
02:07 テラ:
My own dad is a housing worker himself,
お父さんが住宅関連の仕事をしているんだけど
02:12 テラ:
but he disowned me pretty much.
ほとんど勘当状態だったの
02:16 テラ:
‘Cause I drink too much,
私がお酒を飲みすぎてしまっているから
02:17 テラ:
but he drinks every freaking day with my little brother.
でも、お父さんはほんとに毎日弟とお酒を飲んでて
02:20 テラ:
Not my little brother, he doesn’t drink with him,
弟と一緒じゃないわ。弟はお父さんと一緒に飲まない
02:22 テラ:
he drinks while he’s there.
弟が家にいるのに父がお酒を飲んでいて
02:24 テラ:
My little brother’s only 12.
まだ弟は12歳
02:28 インタビュアー:
How old were you when you started drinking?
お酒を飲み始めたのはいくつの時?
02:31 テラ:
I didn’t start drinking until I was 18,
18歳までは飲んでなかった
02:34 テラ:
which is pretty weird.
飲むと気持ち悪くて
02:35 テラ:
I coulda started drinking
18歳より前に
02:38 テラ:
when I was way younger than that
飲み始めることはできたかもしれないけど
02:39 テラ:
but I didn’t start drinking until I was 18.
それまでは飲み始めなかったわ
02:43 テラ:
I had a bad thing,
悪いことがあって
02:47 テラ:
a bad experience when I was 18.
18歳の時に嫌な経験があったの
02:49 テラ:
So I started drinking really bad.
だから酷く飲み始めたわ
02:51 テラ:
I didn’t start drinking really, really bad
それまではそんなに酷く
02:53 テラ:
until this happened.
飲んではいなかった
02:58 インタビュアー:
How do you survive out here?
どうやってここで生活しているの?
03:01 テラ:
That’s a good question (chuckles).
いい質問ね
03:04 テラ:
I’ll sit on the street and I’ll ask for change.
路上に座って、小銭を無心して
03:06 テラ:
I’ll get somebody to buy me food.
誰かに食べ物を買ってもらって
03:11 テラ:
And I just go to sleep.
眠るだけ
03:13 テラ:
I wake up the next day and do the same thing.
翌日起きて、同じことを繰り返す
03:16 テラ:
It’s a every day …
毎日よ
03:18 テラ:
It’s a cycle.
サイクルね
03:20 テラ:
You wake up, you gotta get up and go
目覚めて、起き上がって
03:24 テラ:
to the street and ask people for change,
路上へ行って、小銭を求める
03:28 テラ:
get them to buy you food,
食べ物を買うのにね
03:29 テラ:
make enough for alcohol, and then
アルコールも手に入れて、そして
03:34 テラ:
come back here and hang out,
ここに戻ってきて、出かける
03:36 テラ:
go back to the street,
路上に戻って
03:38 テラ:
make enough for more food and alcohol,
食べ物とアルコールを手に入れて
03:40 テラ:
and then we go to bed.
そして寝るの
03:42 テラ:
And then wake up, we do the same thing, it’s a cycle.
そして目覚めて、同じことを繰り返す。サイクルだわ
03:46 インタビュアー:
What’d you do to your hand?
その手はどうしたの?
03:50 テラ:
This is actually for sticking up for my friend.
実は友達をかばうのに手を出したの
03:53 テラ:
For a friend I mean.
友だちのために
03:54 テラ:
‘Cause my friend was …
私の友達が…
03:58 テラ:
His first adult charge was theft under,
彼の初犯は窃盗で
04:01 テラ:
and the cops broke his arm …
警察が彼の腕を折ったの
04:05 テラ:
There’s a little fly around me.
小さい虫が飛んでるわ
04:08 テラ:
The cops broke his arm.
警察が彼の腕を折って
04:10 テラ:
Then when he got released, my other friend
彼が開放された時に、もう一人の友達が
04:12 テラ:
thought it was funny to keep punching him on the arm.
腕を殴り続けるのはおかしいと思ってたんだけど
04:16 テラ:
I didn’t think it was funny,
私はおかしいとは思わなくて
04:18 テラ:
‘cause that’s just not nice.
良いことではないから
04:22 テラ:
I punched him as hard as I could and I broke my hand.
私が彼を力の限り殴ったら、私の手が折れたの
04:27 テラ:
Yup.
そう
04:30 インタビュアー:
What’s your future like?
将来はどうするの?
04:32 テラ:
My future I would love to be …
将来、私は
04:35 テラ:
I would love to go to school but I have a criminal record.
学校に行きたいけど、犯罪歴があるの
04:40 テラ:
I can’t get a pardon until 2012.
2012年まで恩赦が受けられなくて
04:44 テラ:
I wanna go to Ryerson ‘cause my stepmom works there.
義母が働いてるからライヤーソン(大学)に行きたい
04:48 テラ:
She’s a professor there.
彼女はそこの教授で
04:53 テラ:
She put me and her
私と彼女の二人の息子を
04:55 テラ:
other two sons under her name
彼女を名前の下に入学させるの
04:57 テラ:
so we get free education there.
そして無料の教育が受けられるわ
05:04 テラ:
I’m too drunk and stupid all the time.
私はいつも飲みすぎるしバカだわ
05:07 テラ:
Plus like I said I can’t get a pardon.
それに恩赦も受けられないでしょ
05:11 テラ:
I do want to go to school for addiction counseling,
依存カウンセリングのために学校に行きたい
05:13 テラ:
‘cause obviously I know about addictions
依存について良く知ってるからね
05:15 テラ:
‘cause I’m an alcoholic.
アルコール依存症だから
05:19 インタビュアー:
You can get sober.
君は抜け出せるよ
05:21 インタビュアー:
I was homeless
私はホームレスだったんだ
05:23 インタビュアー:
and I have 16 years sober next week.
来週で16年間シラフでいることになる
05:26 テラ:
16
16
05:26 インタビュアー:
16 years.
16年
05:28 テラ:
Are you serious?
本当に?
05:29 インタビュアー:
Yeah.
ああ
05:29 テラ:
Oh my God.
すごい
05:30 テラ:
Proud of you. I was homeless …
尊敬するわ
05:33 インタビュアー:
You can do it too.
君もできるよ
05:34 インタビュアー:
If I can do it you can do it.
私ができるんだから君もできる
05:37 インタビュアー:
If you had three wishes, what would they be?
もし3つ願いが叶うなら、何を願う?
05:43 テラ:
I want me to change my life,
私に自分の人生を変えさせたい
05:48 テラ:
my boyfriend to change his life,
彼氏にも彼の人生を変えさせたい
05:51 テラ:
and my family to love me more than they do right now.
そして私の家族に私を今より愛して欲しい
05:57 インタビュアー:
Thank you very much for talking to me.
話てくれてありがとう
05:59 テラ:
No problem.
どういたしまして
カナダ、トロントの若い女性ホームレス、テラの嫌うシェルター
欧米の自治体では治安維持、景観保持、人権保護など多方面からの理由によるホームレス対策として、シェルターを用意しているところが数多くあります。
日本でも自治体がシェルター(一時宿泊など)を提供していたり、NPOなどが宿泊場所を提供しています。
十数年ほど前に川崎駅にたくさんいたホームレスへの対策として、市が一時宿泊施設を用意してニュースになりましたね。
その後川崎駅で夜を過ごしていたホームレスはいなくなりました(「追い出された」とも言えるかもしれません)。
しかし、このようなシェルターを嫌うホームレスは多くいます。
多くの場合、このようなシェルターは2人以上の相部屋か、何人もの人が寝るような大部屋で寝泊まりすることになります。
人によっては知らない人と同じ部屋で過ごすのが精神的に辛いというのもあると思います。
また、ホームレスの状態にある方の中には集団生活や社会適応が難しい、好まないという人もいます。
テラが経験したような肉体的・精神的な暴力行為が起きることもあるかもしれません。
シェルターの提供はありがたいことですし、ホームレスからの脱却の一つのステップにはなります。
ですが、シェルターを用意すれば解決とはならない現実があります。
カナダ、トロントの若い女性ホームレス、テラはなぜ亡くなったのか?
テラさんはこのインタビューの2年後に電車との接触事故で亡くなってしまいます。
テラさんの事故を報じるニュース
First Nations woman killed by train in Toronto was a witness in murder trial | APTN National News
とある殺人事件の証言者としてテラさんは証言に立つことについて脅迫を受けていたといいます。
その裁判で証言することについてテラさんは消極的だったそうですが、証言をしなければ拘留される可能性もあり、証言せざるを得ない状況であった可能性もあります。
このニュース報道の中では、ホームレスである証言者に対する警察側の保護が不十分だったのではないのか、事故原因についても疑問が残るとしています。
日本でのホームレス支援
日本では数多くのホームレス支援団体がありますが、その中に雑誌の販売を通して支援を行う「ビッグイシュー」という団体があります。
イギリスから始まったホームレス支援を行う雑誌「ビッグイシュー」は日本でも発行されており、札幌でも「ビッグイシュー」の販売が行われています。
札幌のビッグイシュー販売場所は以下の記事で紹介していますので、もし興味があったら一度手に取ってみてください。
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